はじめに
 メジャーリーグではここ数年の間に、革命が起きた。
 フライボールレボリューション、日本語的に言うと「フライボール革命」と呼ばれるものである。
 これまでの野球、アメリカンベースボールの常識を覆す、大きな革命である。
 野球には、完璧な理論など存在しない。
 打率,300を打つと一流と言われるが、それも経験則に当てはめられただけであり、もしかしたら何かがきっかけで打率,300は当たり前と言われる時代が来るかもしれない。
 それほど、野球というのは変化していくスポーツである。
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フライボール革命とは?
 打率同様、完璧なものではないが、今日のメジャーリーグでは、フライボール革命という新たなトレンド、変化が浸透してきている。
 これは、よく「ゴロを打つな、フライを打て」という言葉で表現される。
 しかし、これは今までの常識とはかけ離れていた。
 日本の野球では、最短距離でバットを出して、ゴロを打つなどと教えられることが多いが、メジャーリーグでもそれに似たようなことが過去にもあった。
 それにより、極端なシフト守備、例えば右打者で引っ張ることが多い選手に対しては、サードの選手がセカンドの後ろを守り、三遊間はショートだけが守るという場合がザラにある。
 それにより、ゴロではなく内野手の頭の上を通るフライを打つという技法にしなければヒットが生まれないという問題が浮上した。
 それがフライを打てという1つの理由でもある。

 フライを打つことの理由はそれだけではない。

 メジャーリーグでは現在、全球場で高性能な投球、打球の観測装置が備え付けられている。
 その装置のデータを元にした統計で、打球をバットを水平にした場合を基準に30度で打ち上げることで、ヒットそしてホームランの確率が極端に上がるという統計結果が出たのである。

 これら、2つの理由から「ゴロを打つな、フライを打て」と言われる。
 これを総じて
フライボールレボリューション(フライボール革命)と呼ぶ。 

導入事例

 このフライを打つ傾向を一早く取り入れたのが、ヒューストン・アストロズである。
 アストロズは再建期から右肩上がりで、チーム成績を伸ばし、2017年にはワールドシリーズ制覇という偉業を成し遂げた。

 アストロズのゼネラルマネージャー(GM)のルーノウが再建期の時期からフライボールを打たせるようにチーム方針を固めていた。
 その傾向が顕著に出たのが、決してスター選手でないルイス・バルブエナ選手であった。
 2018年12月6日、ルイス・バルブエナ選手は交通事故に遭い、その生涯に幕を閉じた人物であるが、生前のアストロズ時代の打撃は衝撃的なものであった。
 バルブエナ選手は、ホームランを打つタイプの野手ではなく、2008年~2014年までの7シーズンで1シーズン16本のホームランがキャリアハイであり、基本的には一桁台のホームランが毎年の成績であった。
 しかし、2015年、アストロズと契約を結んだその年にホームラン25本を記録する。
 これは、アストロズがフライを打つ傾向を取り入れた結果である。

 また、その傾向はメジャー30球団全てに広がり、100年以上の歴史を持つメジャーリーグ史において、1シーズンの30球団全体のホームラン合計記録であった約5700本を、2017年で約6100本と、大幅に記録を更新したのである。

 2017年のナ・リーグMVPのスタントンは59本のホームランを放った。
 同じく2017年のア・リーグMVPのアルトゥーべも身長170cmほどにも関わらず、24本のホームランを放った。
 これほどまでにホームランが増えたのは、装置による技術的進歩と統計学による知的進歩の結果であると考える。

 フライボール革命によって、投手が受けた影響は、元メジャーリーガーであり、ノーヒットノーランも達成したことのある、ジャレット・ウィーバー投手に顕著に表れた。
 ウィーバーはメジャーリーグ屈指の「フライボールでアウトを取る投手」であった。
 しかし、フライボール革命が起こったメジャーリーグにおいて、フライボール投手は恰好の餌食であった。現役の晩年は目も当てられない成績であった。
 幸も不幸もある革命であったのだ。
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まとめ
 日本にも中村剛也や柳田悠岐など、とにかくフライを打とうとする選手が多くいる。
 その選手たちの活躍も、フライボール革命を無意識に実現した結果であると考えられる。 
 この傾向から、日本からか、アメリカからか、それは分からないが、王貞治の偉大な記録である通算868本のホームラン世界記録を破るのは不可能ではないと考える。

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