はじめに
 新型コロナウイルスの影響で2020年シーズンのプロ野球開幕はまだ先になりそうだ。
 開幕を待つ間に、2019年シーズンで疑問に思ったことを述べていこうと思う。

 2019年、沢村賞は「該当者なし」という結果に終わった。
 選考基準に該当する投手がいなかったという理由である。
 選考基準を設けること自体は何も問題ないが、問題としたいのはその選考基準の内容である。その選考基準において、明らかな時代錯誤が見受けられる。
 本記事では、沢村賞の選考基準と、どのような選考基準を設けるべきかを考えていく。
スポンサーリンク
沢村賞の現在の基準
 現在の沢村賞の選考基準は主に以下の事項である。
登板試合数 25試合
完投試合数 10試合以上
勝利数 15勝以上
勝率 60%以上
投球回数 200イニングス以上
奪三振数 150以上
防御率 2.50以下

 現在では、これらの選考基準を基本的に満たす投手の中から沢村賞の受賞者を決める。

1つ目の時代錯誤 完投数
 2019年シーズン、完投数が最も多かった投手は、広島カープの大瀬良大地完投数6である。
 選考基準の完投数10には及ばない成績であった。
 ここに大きな時代錯誤が見える。
 現在のプロ野球において、先発が試合を作り、中継ぎ投手と抑え投手に継投する、勝ちパターンが浸透してきている。
 一昔前であれば、エース投手が完投し、それほどの実力を伴わない投手を中継ぎ投手として使っていた時代があった。昭和の野球がまさにその典型であろう。
 しかし、現在では中継ぎ専門としてドラフト1位指名をされる投手も存在するほど、中継ぎ投手の重要性が増してきている。ソフトバンクの甲斐野央が最も記憶に新しい。
 つまり、「先発ができない投手が中継ぎに降格」という時代ではないのである。
 中継ぎ投手も主戦力の1つなのである。
 そのことを理解できない人々が選考基準を守ろうとすれば、当然、時代錯誤が生じるのである。
 そのため、先発投手としての役割を現在の野球に当てはめ、選考基準を作るのであれば、クオリティスタート(QS)やハイクオリティスタート(HQS)を考えるべきである。
 QSは「先発投手が6イニングスを投げて自責点3点以下に抑えること」を意味し、HQSは「先発投手が7イニングスを投げて自責点2点以下に抑えること」を意味する。
 この選考基準を完投数に置き換えることができれば、「先発投手が試合を作り、残りの数イニングスを中継ぎ投手で抑える」という現代野球に沿った基準を確立できる。
 最近のメジャーリーグでは、オプナーという新しい発想で、打者が一巡する前に投手を代える案も浮上している。
 この案が浸透してきた場合、完投数0が当たり前になり、それでも優勝するチームが出てくると仮定すれば、沢村賞の完投する基準は時代錯誤もいいところとなる。
 オプナーの話はやや極論であるが、先発投手と中継ぎ投手の役割を考えた場合、QSやHQSを選考基準に組み込むことは大いに検討するべきである。

2つ目の時代錯誤 勝利数
 投手の勝利は、試合において5イニングスを終了した時点で試合が成立し、その時点で得点数が多いチームの投げている投手に「勝利投手の権利」が付く。
 また、試合が成立した状態で、同点から勝ち越し、もしくは逆転することによって、勝利投手の権利が付く。
 この勝利投手の権利において、最も印象に残るのは、現役メジャーリーガーの田中将大が2013年に記録した24勝0敗であろう。
 明らかに見栄えも良く、負けない投手であったことは数字からわかる。
 ただ、1つ考えておきたいことは、もし、田中将大の登板した試合で味方チームが得点できなかった場合、つまり得点が0点だった場合、相手チームに本塁打を1本打たれれば、その時点で負け投手になるということである。
 田中将大はその年に防御率1.27を記録しているが、防御率が0.00でない限り、本塁打を打たれる状況は十分に想定できた。
 つまり、「勝利数は運の要素が強い」ということである。
 具体的に言えば、9イニングスを投げ切り、自責点1(失点も1とする)の場合、防御率は1.00であるが、味方の得点が0点の場合、負け投手になるということである。
 これほど運の要素が強い指標は他にないと言えるほどである。
 沢村賞の選考基準である15勝は、運の要素が強く、例え最優秀防御率でも10勝しかできない場合、基準をクリアすることはできない。
 この運の要素の強い、勝利数という選考基準は無くすべきであると考える。

アメリカとの比較
 メジャーリーグにはサイ・ヤング賞という賞がある。これは日本で言う沢村賞である。
 2018年、2019年と2年連続でナ・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたデグロムというスーパースターがいるが、デグロムは2018年に防御率1.70を記録したが、10勝9敗という成績。2019年は防御率2.43を記録したが、11勝8敗という成績。
 15勝に到達していないにも関わらず、圧倒的な防御率と安定感を武器に2年連続サイ・ヤング賞を獲得したのである。
 デグロムは運がなかったため、勝利数を稼ぐことはできなかったが、「勝てないからデグロムはいらない」という話にはならないであろう。

 メジャーリーグでは15勝していなくても、サイ・ヤング賞を獲得できるが、日本では15勝していないと沢村賞は基本的に獲得できない。
 メジャーリーグでは運の要素を極力排除しているが、日本では運の要素を相当加味している。
 そう考えると、沢村賞に勝利数を基準に設けることはメジャーリーグにさらに遅れを取り、時代錯誤が解消されないのである。
スポンサーリンク
まとめ
 沢村賞の選考基準について、大まかに述べ、現代の野球と照らし合わせると、明らかに時代錯誤であることを述べてきた。
 大まかではあるが、完投数と勝利数について、この2つは現代の野球ではそれほど重視するべきものではないことを述べた。
 今後、日本プロ野球の沢村賞の選出基準がアメリカと同じような選考基準になるよう努めていくことを勧める。 

  
関連記事


参考にしたサイト
1.日本野球機構,NPB.jp
2.Wikipedia
3.スポナビ

記事終了