はじめに
 FAで、読売ジャイアンツは炭谷銀仁朗丸佳浩を獲得し、阪神タイガースは西勇輝を獲得、楽天イーグルスが浅村栄斗を獲得したことは記憶に新しい。
 そして最も記憶に残ることは巨人から西武ライオンズへの人的補償による内海哲也の移籍であろう。これは巨人ファンからすれば衝撃的な話であった。
 この人的補償は理にかなっている部分とそうでない部分がある。
 本記事では、いくつかの人的補償の穴となっているところ、欠点、そして解決案について述べていく。
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人的補償とは?
 そもそも人的補償とは、簡単に言うと選手Aがフリーエージェント(FA)で移籍した球団から、選手Aを放出した球団に選手Aの獲得の対価として何人かの選手を提示して、好きな選手を差し上げる制度である。(詳細:Wikipedia
 かなり簡単に述べたため、公平性が保たれていると感じるかもしれないがいくつかの欠点がある。以下に3つの欠点を述べる。
 

欠点1 欲しい選手がいない
 西武ライオンズが楽天イーグルスから浅村栄斗を獲得した際、欲しい選手がおらず、金銭の譲渡で浅村栄斗のFA移籍は収束した。
 しかし、本当は現在広島カープで勝利の方程式を担っている一岡竜司のように、掘り出し物を探すか、再起可能で低年俸のベテラン選手を獲得し、主力を担ってもらうことが望ましいだろう。
 人的補償という名だけの補償で、結局は欲しい選手は全てプロテクトされていることが一般的である。
 日本の球団はメジャーリーグと違い、抱えている選手が少ない。
 そのため、日本球界においてプロテクト漏れした選手の中から人的補償で掘り出し物を探すのは非常に難しい。一岡竜司は奇跡的な話である。
 これが1つ目の欠点である。

欠点2 プロテクト外し
 人的補償プロテクトの枠は28名と決まっている。
 FAで選手を獲得した球団は、28名をプロテクトし、プロテクト漏れをした選手を放出するという仕組みになる。
 しかし、資金豊富な巨人やソフトバンクなどの人気球団は一度自由契約にして、人的補償を決定後に再契約することも可能である。
 良い例が上原浩治との再契約である。
 これは上原浩治に非はないのであるが、巨人がプロテクトできる選手を多くするために、一度上原浩治を自由契約にして28人の選手をプロテクトし、人的補償が決定した後に再契約したと考えられてもおかしくはない。
 これは2つ目の欠点である。

欠点3 金銭面
 巨人や阪神、ソフトバンクといった球団はFAで選手を取りやすい。
 巨人の場合は丸佳浩を獲得し、5年で25〜35億円の契約であると言われている。
 ソフトバンクも過去に内川聖一などを獲得した。
 資金力のある球団が強くなるのは良いことなのだが、広島カープや横浜DeNA、オリックスバファローズなどの必ずしも資金力があるとは言えない球団は、FAでの放出を呼び止めることは困難になる。
 そのため、人的補償で選手を獲得するのは理にかなっていると言えるが、巨人や阪神、ソフトバンクなどの球団に所属していた選手となると、その人的補償の選手の年俸が高いという問題点が1つある。
 例えば、内海哲也が炭谷銀仁朗の人的補償で西武ライオンズへ移籍したが、内海哲也の年俸は推定1億円、炭谷銀仁朗の西武ライオンズ時代の年俸もおよそ1億円であり、非常に似通った部分がある。
 ただし、これは巨人が炭谷銀仁朗を欲したが故の雑なトレードであり、西武ライオンズが内海哲也を必ずしも欲したとは考えにくい。利得関係が良いとは言い切れない。
 西武ライオンズが金銭補償を求めた場合、炭谷銀仁朗の場合、前年俸の80%の8000万円を獲得することができるが、8000万円では6番や7番打者を打つような選手の年俸と変わりない。
 8000万円より、実績のある内海哲也を獲得したと言えるが、西武ライオンズの望んだカタチと言えるかは定かではない。
 ここから、もし球団の資金格差が広がり、主力と若手はプロテクトされ、残された選択権は陽岱鋼のような不良債権の選手となった場合、利得関係としては資金が豊富な球団が強いと間違いなく言える。
 これは3つ目の欠点である。


解決案
 不満を言うだけならば誰にでもできる。そのため本記事では不満だけではなく、解決案を1つ述べてみる。
 この不公平を解消するための解決案は、
ドラフト制度の改正である。
 過去に記事でドラフト制度の問題点について述べたことがあるが、メジャーリーグではFA移籍の対価としてドラフト権の譲渡が一般的である。
 メジャーリーグは前年の勝率の低い順に好きな選手を指名することができる。
 例えば2018年シーズンの西武ライオンズのチーム勝率は12球団1位の.624であり指名権は最下位の12位となるが、巨人の場合、2018年シーズンは真ん中あたりの全体7位指名である。全体7位指名を、先にFA移籍の公示をした西武ライオンズへ人的補償ではなくドラフト権を譲渡するというカタチを取れば、「巨人に欲しい選手がいない場合」の選手不足の不満、「プロテクト外し」によって生じるプロテクトの問題、「巨額の金銭」という資金的な問題を全く別の角度から根本的に解決し、次のドラフトで好きな選手を選びやすくなり、あれこれ悩まずに済み、人的補償の煩わしい欠点を非常にシンプルに解決できると考える。
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まとめ
 ここまで人的補償について、欠点とその解決案について述べてきた。
 かなり簡単に述べてきたため、綻びはあるかもしれないが、欠点が多い制度であることは変わりない。
 本記事ではあえてファンとして述べたものではなく、野球界全体の利得に関わることを述べたのは、感情的になると、俯瞰して物を見ることができないからである。
 日本プロ野球は今後、この問題をどのように解消していくのか、もしくは解消できずズルズルと現在の制度を保つのか、今後の展開に注目していきたい。
  

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